2012年3月9日金曜日

アレルギー性鼻炎と漢方

スギ花粉症がない北海道でも、近年はシラカバ花粉症がメジャーな言葉になってきました。


私自身も大学生くらいまではけっこうひどい鼻炎もちで、しょっちゅう鼻水たらたら…試験のときに困った記憶があります。


しかし、今は鼻炎で困ることはありません。
それでも、年に何度かクシャミを連発することがありますが、だいたい漢方を飲んで数十分から数時間でいつも通りに過ごしています。


私の発作性にくる鼻炎は、ぞぞぞっと寒気が走ってクシャミがつづくことが多く、圧倒的に麻黄附子細辛湯証が多いのですが、実際には麻黄附子細辛湯は飲まずに止めています。


表裏の寒証で、辛温散になるように麻黄附子細辛湯と同じ働きになるように、もっと身体に優しいもので代用してピタッと止めています。これが漢方の面白いところです。


慢性のアレルギー性鼻炎では、私の鼻炎のように簡単にはいきません。こつこつ飲んで対策することが大事です。


先日、慢性のアレルギー性鼻炎でご相談にこられた女性の患者さん。鼻水、鼻づまり、夜は息苦しい…ティシュペーパーはすぐになくなる…


最初にご提案したものを2週間を服用して、経過を伺うと、まだぐずぐずするものの、鼻水は減少。何より、横で寝ているご主人が寝息が静かになったことに驚いたそうです。
引き続き漢方で対策中です。


漢方で鼻炎の対策をしたときに何がいいって「眠くならない」ことと、「喉が渇かない」ことです。市販の鼻炎薬は抗ヒスタミン薬が入っているので眠くなるし、分泌を止めるので喉が渇きます。喉が渇いて水分をとると、また悪化してきます。鼻炎は水があふれている病気だから、水分たくさんとったら…鼻水だらだらです。


冷たいビールは鼻炎にはもってのほか。美味しいけど!


調べてみると、今年は幸いにもシラカバ花粉の飛散は少ないのではないかと予想されています。


とはいえ、備えあれば憂いなし。普段から鼻炎もちの方や、季節性でも早めの対策を希望する方はどうぞご相談くださいね。


それと併せて、漢方の働きと反対になるような食べ物を控えておく養生も必要です。これはご相談の際にお話ししております。


鼻がすっきりすると、本当に快適。
勉強するにも、仕事をするにも、クリアな状態で出来るとぜんぜん結果が違いますからね。


からさわ薬局のアレルギー性鼻炎漢方相談は完全予約制です。(鼻炎に限らず漢方相談は完全予約制です!)





2012年3月8日木曜日

No Mutton, No Life.



昨夜、友人が道外からのお客様を連れてジンギスカンを食べに行くというので誘われてご一緒しました。


場所はススキノの東の端にある古いビル、社交会館の2階「メリーシープ」さん。
友人のおすすめで、私は初めてでした。


うちの家内はジンギスカンの本場に近い所で育ったため、彼女曰く「一生分食べた」らしい。そんなわけで家内はジンギスカンにはまったく興味なし。
それで私も20代の頃はほとんど食べる機会がなかったのですが、私の漢方の師匠を九州から北海道にお招きして講義をしていただいていた当時、「唐沢くん、ジンギスカンが食べたい!」という要望があって、一緒に勉強していた皆で食べに行ったのが実に久しぶりのジンギスカンでした。


それから「ああ、ジンギスカンやっぱり美味いや!」ということで、機会あれば食べております。


円山動物園の昔からある食堂(入口から左の道沿いにあるあそこね)のジンギスカン定食も好きだし、まつじん(松尾ジンギスカン)も好きだし、…まあ、あまりこだわりがないです。


ですが、昨日のメリーシープさんのマトン(Mutton)はとても美味しかった!


バイク好きで明るい店のご主人と独特のお店の雰囲気の中でいただいた人気の「マトン」はやみつきになりそう。


さて、漢方の古典に羊肉の入った処方がいくつかあります。
昨夜もビール片手にそんな話をしたかもしれませんが、なんでも無理やり漢方の話になります(笑)


羊肉の気味を本草綱目から引くと「苦く甘し、大熱にして毒なし」とあります。
大熱(たいねつ)は、すごく身体があたたまるってことですね。


虚寒の症状に対していくつかの生薬と組み合わせて「湯」を作り、つまり羊肉に薬味を足してスープを作り、それを寒疝(かんせん:寒冷によっておこる腹痛)などに用いていたことが古典に書かれています。


間違いなく、寒い気候にあった食べ物ですよね。


理屈はともかく、みんなで食べるジンギスカンは北海道人のソウル・フードであり、たまには食べようよ!ということでした。

2012年3月7日水曜日

札幌薬剤師会の薬物乱用防止キャンペーン

今年もAir-G'(FM北海道)と(社)札幌薬剤師会の共同で、3月11日(日曜日)にサッポロファクトリーアトリウムにて薬物乱用防止キャンペーンを開催いたします。


毎年好評の子ども調剤体験コーナー(お菓子を薬にみたてて本物の調剤機器で分包します)も開催。


お子さんの可愛い白衣姿を写真におさめる絶好のチャンスですのでぜひご来場下さいね。


私もどこかでお手伝いしております。


Air-G'のイベント情報

2012年3月5日月曜日

あら、iPhoneアプリがあるのね

GoogleのBloggerには、専用のiPhoneアプリがあるのですね。

ということで、iPhoneアプリで投稿してみる実験。

あらら、日本語キーボード出すとちょっと編集画面が隠れるじゃないですか…

早くなおしてー!

女性に多い手あれと漢方薬

からさわ薬局からみた冬の道庁赤レンガ

女性に多い手あれ。

からさわ薬局の漢方相談は圧倒的に女性の患者さんが多いため、「手あれ」もご相談の中で増えて来ました。

ハンドクリームを工夫するとか、皮膚科を受診して改善する程度の手あれでは、わざわざ漢方のご相談にいらっしゃいませんので(もちろん、軽度の方もご相談に来てくれてもかまいません!)、慢性化していて難しい手あれ・手湿疹のご相談が集中します。

手あれは一般的に、冬場に悪化しやすく、進行性指掌角皮症とか主婦湿疹とかの病名を病院で言われてこられます(どちらも手湿疹)。

アトピー性皮膚炎の患者さんにも手湿疹だけしつこい場合もあります。手あれの患者さんでアトピー性皮膚炎の既往症や素因を持っている方も結構みられます。

また、同様に手あれであっても、異汗性湿疹といって手のひらに小さな水泡が出来て、そこが破けて手あれになっているご相談もいらっしゃいました。

いくつかの事例をご紹介します。
特に難しかった例です。

・アトピー性皮膚炎に伴う手湿疹

40代の女性、20代前半からアトピー性皮膚炎で通院しており、相談にみえたときは手あれとひじ・ひざ裏の発汗部位と首周りに湿疹。病歴が長いため、ちょっと時間がかかりそうだと思いました。

当初は夏場であったため、発汗部位の湿疹が痒みもあり、こちらから対応しました。アレルギーや解毒にはたらくと言われる日本で生まれた漢方処方を基本に対応したところ、徐々に発汗部位の湿疹はみられなくなりました。

翌年には身体の湿疹は見られなくなったものの、手あれがなかなか治まらず、寒くなってくるとだんだん手あれは強く…。他の部位がほぼ改善していたので、対象を手あれ一本に絞りました。

女性特有の血の流れに作用する漢方薬をベースに、その時の状況をよく考えながら、必要と思われるものを補助していきました。

最終的には、その漢方薬をベースに、虚実をピッタリ合わせるための補助剤と皮膚新生を促す生薬製剤を補助して行くことで、相談にこられるたびに手あれが目立たなくなっていきました。病歴が長かったため、約3年かかりましたが、手あれもアトピー性皮膚炎も現在は気にすることなく過ごされています。

・異汗性湿疹からの手あれ

40代の女性、異汗性湿疹との診断で有名皮膚科を受診していたが、なかなか改善がみられない。手掌にかゆみを伴う水疱と部分的な発赤があり、水泡が破けて手あれを起こしていました。

手あれによく使われる漢方薬で経過をみたがなかなか効果がみられない。

水泡部分に、表の湿に対する薬方の適する反応をみつけ、方針を変えてそこをメインの治療点と考えて薬方を組み直しました。

これがうまく効いてきたようで、手掌の発赤と水疱はかなり減ってきました。
その後、指先のひび割れと小さいプツプツを部分的に繰り返していました。大きな水疱やかゆみはさほど出ないようでしたが、一進一退の感じでした。

基本の薬方は変えずに、皮膚の新生を促す補助を検討して補助してみたところ、その後から改善速度が早くなり、部分的な一進一退はみられなくなってきた。

親指の先がひび割れ、そこがしつこかったのですが、最終的にはそれもなくなりほぼ治療終了ではないかと思われます。


・手を中心に発赤を繰り返したアトピー性皮膚炎

20代の女性。もともとアトピー性皮膚炎で、5年くらい前にアトピー性白内障で手術をした経験があるとのことでした。両手からひじまで発赤とガサガサした手あれがあり、指先には絆創膏。

当初、アレルギー体質に使用する漢方が適するように思われ、そこから初めてみたのですが、一進一退です。

1ヶ月ほどして、首周りにはところどころ発赤があるようですが、顔にはまったく症状がみられないことに着目し、紫外線との関係があるかも…と思いました。女性は日常はファンデーションを塗ることで、顔は紫外線から保護されていますので。

紫外線と関係するのはいわゆる日光性皮膚炎で、漢方的には皮膚の再生・防護力を高めるものと血の熱を取るものが組み合わさるケースを多く経験しており(それ自体もアトピー性皮膚炎に用いることもしばしばありますし)、そちらの方向に絞ってみました。
それがどうやらうまく行ったようで、約2週間ごとの来局でも、みるみる良くなる感じでした。

しばらくして、激しい発赤がほぼみられなくなったものの、痒みがまだ時々でて掻いたあとが炎症を起こすようだったので、かゆみに対する漢方をわずかに補助しました。

かかなくなると一層改善が見た目にはっきりとわかりました。

現在はパッと見てもアトピー性皮膚炎だった形跡もわからないくらいになり、再発防止を目指しています。
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どれも皮膚科さんでも改善がみられなかった難しい例で、私も大変苦労しました。
しかし、なんとか漢方で乗り越えることができました。

何がいちばん良かったかというと、患者さんが信じて続けれくれたことに尽きます。
私もいきなり「はい、これで最後まで治るよー」なんてことは解りません。

信頼があってこそ。

うまく行かない時の次の手は常々考えています。一度目で改善せずとも、次の機会を与えてくださった患者さんに感謝して、腕を磨いていきたいと思います。

からさわ薬局の漢方相談は完全予約制です。

1日にご相談を受けられる数には限りがございますので、できるだけお早めにご予約下さい。土曜日は混み合っていることが多く、新規のご相談の枠を取りにくいことがありますが、平日の日中は比較的余裕があります。

お仕事をされている方は、遅めの時間でも可能な限り対応していますので、ご相談くださいね。



〈関連記事〉
女性に多い体調不良と漢方薬
冷え症と漢方薬

2012年3月2日金曜日

Oh!ナポリタン

からさわ薬局の近くで名物といえば、純喫茶オリンピアさんの「ナポリタン」は外せない。



何と言っても、このボリューム、この食べごたえ。
もう、高校生じゃないんだからこんなに食べられないよ!と思っても、たまに友達がたずねてくると「ナポリタンいく〜?」と…

毎回、満腹に撃沈するのだけど実にこれが美味いのであります。

アルデンテとかパスタとかいうお洒落な言葉とは無関係に、昭和の薫り漂う「純喫茶」でいただく、コッテリで、かすかに焦げ目のついたナポリタン。

ぜひ、お近くにお寄りの際はお試し下さい。


後ろにみえるのは高校の同期生たち。

もちろん、熱い珈琲を食後にセットで頼むのがお約束です。

苦しくなったら帰りに平胃散を買いに来てね。

2012年3月1日木曜日

冷え症と漢方薬


婦人向け健康雑誌などで漢方薬が取り上げられるときの定番といえば冷え症。

しかし、冷え症はありふれているだけに、実にバラエティであり、漢方屋泣かせの症状のひとつかもしれません。

札幌も、2月までの厳しい寒さが過ぎ、ホッとしたところですが冷え症の人にはまだまだつらい時期です。

私は寒い夜に地下鉄大通駅あたりを通ると「ひのでそば」に吸い込まれては月見そばに唐辛子かけてすすりたくなります。



さて、冷え症はバラエティで難しいよ…と、逃げてばかりもいられませんので、大まかに「こんなにあるよ!」というところを書いてみます。

まず、本当に冷えているもの。本当にというところがミソです。

漢方で「寒証(かんしょう)」と呼ばれるものですが、表寒(ひょうかん)と裏寒(りかん)があります。

・表寒
ゾクッとする悪寒です。体表面が冷えていますが、感覚的には上半身が中心です。背筋が寒い。深いか浅いかで言えば、体表面ですから浅いです。暖かい所にいるとなんともなくても、寒さにあたると症状が出るのも表寒タイプです。
風邪の初期にゾクゾクして、温かい葛根湯などを飲むとポカポカしてくるのも急性の表寒です。もちろん慢性のものもありますが、どちらかというと冷え症で相談に来る人ではなくて、他の症状(関節痛やらなんやら)で来られる方にみられます。

・裏寒
慢性的な冷え症で相談にこられる方にはこちらが多いです。表寒に比べて、下半身が中心になってくる傾向にあります。ひどくなると末端部の冷えが激しく、毎冬にしもやけになるという方もいらっしゃいます。

更に裏寒のタイプを原因別に分類してみると、

血虚タイプ(けっきょ:貧血タイプ)
→このタイプは熱を伝える血が不足して冷え症に。血を増やす薬味の漢方薬がメインになります。
   
新陳代謝不活溌タイプ
→このタイプは、食べたものを熱にする力の不足と考えられ、胃腸虚弱者に多く見られます。胃腸機能を高める漢方薬がメインになります。

水分停滞タイプ
→体内で水分が停滞、偏在し、その部分が冷えやすくなるタイプですが、例えば尿量が薄くて多いなどの症状を伴うことが多いようです。温性の薬味と水の流れを助ける(利水といいます)薬味の入った漢方がメインになります。


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さて、ここまでは本当に冷えているものでしたが、以下は熱もあるけど冷えもあるややこしいタイプです。ようするに、「熱を作る力はあるのに部分的に冷える」という冷え症です。

血流障害タイプ
いわゆる血行不良ですが、特に下腹部に血流障害を起こすことで、下半身に冷え、上部にのぼせなどが出るものが多く見られます。血流を改善する漢方がメインになります。


交感神経緊張タイプ
一見丈夫そうで冷え症にはみえないのに、手足が冷える人に時々いらっしゃいますが、交感神経の緊張が強く、いわゆる神経過敏傾向により、末梢血管が収縮し、手足の末端部分に冷えを起こします。舌をみると、内部には熱をもっているような状態が観察されます。当然、神経の緊張を抑えるような漢方薬がメインになります。

自律神経失調タイプ
体温の調節機能のトラブルです。ストレスが多い人や、心配症な人などにみられ、基礎体温表をつけている女性では高温期・低温期がはっきりせず、ギザギザになっています。このタイプは神経症状に用いる漢方薬全般が対象になり、簡単には判別できない場合が多いと思います。


これだけみても実にバラエティですよね。

「冷え症には漢方がいい!」のは間違いないと思いますが、だからといって適当な温性の漢方薬を飲めばよくなるものではないこと、その原因や体質を個別に考えながら、じっくりと取り組まなければならないということがお分かりいただければと思います。

私も、もっと研究しないとね…


からさわ薬局の漢方相談は完全予約制です。