2012年3月5日月曜日

女性に多い手あれと漢方薬

からさわ薬局からみた冬の道庁赤レンガ

女性に多い手あれ。

からさわ薬局の漢方相談は圧倒的に女性の患者さんが多いため、「手あれ」もご相談の中で増えて来ました。

ハンドクリームを工夫するとか、皮膚科を受診して改善する程度の手あれでは、わざわざ漢方のご相談にいらっしゃいませんので(もちろん、軽度の方もご相談に来てくれてもかまいません!)、慢性化していて難しい手あれ・手湿疹のご相談が集中します。

手あれは一般的に、冬場に悪化しやすく、進行性指掌角皮症とか主婦湿疹とかの病名を病院で言われてこられます(どちらも手湿疹)。

アトピー性皮膚炎の患者さんにも手湿疹だけしつこい場合もあります。手あれの患者さんでアトピー性皮膚炎の既往症や素因を持っている方も結構みられます。

また、同様に手あれであっても、異汗性湿疹といって手のひらに小さな水泡が出来て、そこが破けて手あれになっているご相談もいらっしゃいました。

いくつかの事例をご紹介します。
特に難しかった例です。

・アトピー性皮膚炎に伴う手湿疹

40代の女性、20代前半からアトピー性皮膚炎で通院しており、相談にみえたときは手あれとひじ・ひざ裏の発汗部位と首周りに湿疹。病歴が長いため、ちょっと時間がかかりそうだと思いました。

当初は夏場であったため、発汗部位の湿疹が痒みもあり、こちらから対応しました。アレルギーや解毒にはたらくと言われる日本で生まれた漢方処方を基本に対応したところ、徐々に発汗部位の湿疹はみられなくなりました。

翌年には身体の湿疹は見られなくなったものの、手あれがなかなか治まらず、寒くなってくるとだんだん手あれは強く…。他の部位がほぼ改善していたので、対象を手あれ一本に絞りました。

女性特有の血の流れに作用する漢方薬をベースに、その時の状況をよく考えながら、必要と思われるものを補助していきました。

最終的には、その漢方薬をベースに、虚実をピッタリ合わせるための補助剤と皮膚新生を促す生薬製剤を補助して行くことで、相談にこられるたびに手あれが目立たなくなっていきました。病歴が長かったため、約3年かかりましたが、手あれもアトピー性皮膚炎も現在は気にすることなく過ごされています。

・異汗性湿疹からの手あれ

40代の女性、異汗性湿疹との診断で有名皮膚科を受診していたが、なかなか改善がみられない。手掌にかゆみを伴う水疱と部分的な発赤があり、水泡が破けて手あれを起こしていました。

手あれによく使われる漢方薬で経過をみたがなかなか効果がみられない。

水泡部分に、表の湿に対する薬方の適する反応をみつけ、方針を変えてそこをメインの治療点と考えて薬方を組み直しました。

これがうまく効いてきたようで、手掌の発赤と水疱はかなり減ってきました。
その後、指先のひび割れと小さいプツプツを部分的に繰り返していました。大きな水疱やかゆみはさほど出ないようでしたが、一進一退の感じでした。

基本の薬方は変えずに、皮膚の新生を促す補助を検討して補助してみたところ、その後から改善速度が早くなり、部分的な一進一退はみられなくなってきた。

親指の先がひび割れ、そこがしつこかったのですが、最終的にはそれもなくなりほぼ治療終了ではないかと思われます。


・手を中心に発赤を繰り返したアトピー性皮膚炎

20代の女性。もともとアトピー性皮膚炎で、5年くらい前にアトピー性白内障で手術をした経験があるとのことでした。両手からひじまで発赤とガサガサした手あれがあり、指先には絆創膏。

当初、アレルギー体質に使用する漢方が適するように思われ、そこから初めてみたのですが、一進一退です。

1ヶ月ほどして、首周りにはところどころ発赤があるようですが、顔にはまったく症状がみられないことに着目し、紫外線との関係があるかも…と思いました。女性は日常はファンデーションを塗ることで、顔は紫外線から保護されていますので。

紫外線と関係するのはいわゆる日光性皮膚炎で、漢方的には皮膚の再生・防護力を高めるものと血の熱を取るものが組み合わさるケースを多く経験しており(それ自体もアトピー性皮膚炎に用いることもしばしばありますし)、そちらの方向に絞ってみました。
それがどうやらうまく行ったようで、約2週間ごとの来局でも、みるみる良くなる感じでした。

しばらくして、激しい発赤がほぼみられなくなったものの、痒みがまだ時々でて掻いたあとが炎症を起こすようだったので、かゆみに対する漢方をわずかに補助しました。

かかなくなると一層改善が見た目にはっきりとわかりました。

現在はパッと見てもアトピー性皮膚炎だった形跡もわからないくらいになり、再発防止を目指しています。
----------

どれも皮膚科さんでも改善がみられなかった難しい例で、私も大変苦労しました。
しかし、なんとか漢方で乗り越えることができました。

何がいちばん良かったかというと、患者さんが信じて続けれくれたことに尽きます。
私もいきなり「はい、これで最後まで治るよー」なんてことは解りません。

信頼があってこそ。

うまく行かない時の次の手は常々考えています。一度目で改善せずとも、次の機会を与えてくださった患者さんに感謝して、腕を磨いていきたいと思います。

からさわ薬局の漢方相談は完全予約制です。

1日にご相談を受けられる数には限りがございますので、できるだけお早めにご予約下さい。土曜日は混み合っていることが多く、新規のご相談の枠を取りにくいことがありますが、平日の日中は比較的余裕があります。

お仕事をされている方は、遅めの時間でも可能な限り対応していますので、ご相談くださいね。



〈関連記事〉
女性に多い体調不良と漢方薬
冷え症と漢方薬

0 件のコメント: